
ブロッコリーは、低カロリーながら多くの必須栄養素を含む「栄養密度」が高い食品です。
そのため、手軽に取り入れられる「スーパーフード」として知られています。
このコラムでは、ブロッコリーが持つ健康効果と、調理法による栄養素の違いについて解説します。
◾️ブロッコリーに含まれる栄養素と期待されている働き
① ビタミンC
○ビタミンCの働き1)
ビタミンCは、皮膚や細胞のコラーゲンの合成に必須の栄養素です。
またビタミンCには抗酸化作用があり、生体内でビタミンEと協力して活性酸素を消去し、細胞を保護します。
○ブロッコリーに含まれるビタミンCと摂取量2)3)
生のブロッコリー100g当たり、140mgのビタミンCが含まれます。
日本人の食事摂取基準(2020年度版)では、成人の男女で100mg/日摂取が目安とされています。
栄養向上基準*では、成人の体内を飽和させるために必要な摂取量として、210mg/日を至適量としています。
また、タバコを吸う人はビタミンCを消耗しやすいため、余分に摂取することが勧められています。
効率的にビタミンCを摂取したい方におすすめのブロッコリーの調理法は、「電子レンジ調理」です。
② ビタミンK
○ビタミンKの働き1)
ビタミンKには、血液を凝固させたり、骨や歯の形成を助けたりする働きがあります。
○ブロッコリーに含まれるビタミンKと摂取量2)3)
生のブロッコリー100g当たり、210μgのビタミンKが含まれます。
日本人の食事摂取基準(2020年度版)では、成人の男女で150μg/日摂取が目安とされています。
栄養向上基準*では、成人の男女において、骨折予防に必要とされる量である300 µg/日が至適量とされています。
効率的にビタミンKを摂取したい方におすすめのブロッコリーの調理法は、「油炒め」です。
③ カリウム
○カリウムの働き1)
ナトリウムの排泄を促し、血圧の上昇を抑えると言われています。
普段の生活で塩分を多く摂取する方におすすめの栄養素です。
○ブロッコリーに含まれるカリウムと摂取量2)3)
生のブロッコリー100g当たり、460mgのカリウムが含まれます。
成人の男女では、2,600~3,000mg/日以上が目標量です。
効率的にカリウムを摂取したい方におすすめのブロッコリーの調理法は、「油炒め」です。
④ 葉酸
○葉酸の働き1)
葉酸は細胞の増殖に深く関わる栄養素です。また、欠乏症に巨赤芽球性貧血があげられます。
月経のある女性や妊活段階から妊娠初期の男女は積極的に摂取したい栄養素です。
○ブロッコリーに含まれる葉酸と摂取量2)3)
生のブロッコリー100g当たり、220μgの葉酸が含まれます。
日本人の食事摂取基準(2020年度版)では、成人の男女で240μg/日の摂取が推奨されています。
また、妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性及び妊娠初期の妊婦は、胎児の神経管閉鎖障害のリスク低減のために、通常の食品以外に含まれる葉酸(狭義の葉酸)を400μg摂取することが望まれます。
栄養向上基準*では、成人の体内を飽和させるために必要な摂取量は770 µg/日とされています。
効率的に葉酸を摂取したい方におすすめのブロッコリーの調理法は、「油炒め」です。
⑤ ビオチン
○ビオチンの働き1)
ビオチンは、食事で摂取した糖質、たんぱく質、脂質がエネルギーに変換される過程の補酵素として働きます。
また、抗炎症物質を生成することによってアレルギー症状を緩和する作用があります。
○ブロッコリーに含まれるビオチンと摂取量2)3)
生のブロッコリー100g当たり、13μgのビオチンが含まれています。
日本人の食事摂取基準(2020年度版)では、成人の男女で50μg/日摂取が目安とされています。
栄養向上基準*では、成人の体内を飽和させるために必要な摂取量として、90μg/日が至適量とされています。
効率的にビオチンを摂取したい方におすすめのブロッコリーの調理法は、「油炒め」です。
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*栄養向上基準とは、厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準」に加え、ユカシカドが独自に策定した「至適量」を用いた、より満たされた栄養状態を目指すための基準です。
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◾️調理法別ブロッコリーの栄養素まとめ3)
調理法別にみたブロッコリー100gあたりの栄養素の含有量を、以下の表にまとめました。
積極的に摂取したい栄養素に合わせて、調理法を工夫してみると良いでしょう。
文部科学省. 日本食品標準成分表2020年版(八訂)をもとに作成
まとめ
ブロッコリーは、ビタミンやミネラル、抗酸化物質が豊富な栄養価の高い野菜です。
また、調理法を工夫することで、必要な栄養素を効率よく摂取できます。
日々の食事に積極的に取り入れることで、健康維持や病気予防に役立てていきましょう。
参考文献
1.上西一弘. 栄養素の通になる. 第4版, 女子栄養大学出版部, 2016, p110-115 ,121-129, 169-174.
2. 厚生労働省. 日本人の食事摂取基準2020年版.
3. 文部科学省. 日本食品標準成分表2020年版(八訂).