PFCバランスとは?理想的な割合とその活かし方をわかりやすく解説

PFCバランスとは?理想的な割合とその活かし方をわかりやすく解説

健康維持や体づくりを意識する中で、「何をどれくらい食べるか」はとても大切なポイントです。中でも、エネルギーの元となる三大栄養素のバランス=PFCバランスは、健康的な食生活を送るうえで欠かせません。
この記事では、PFCバランスの基本的な考え方や栄養素ごとの役割、理想的な摂取比率、そして日々の食事への取り入れ方について解説します。

PFCバランスとは1)

PFCバランスとは、エネルギー産生栄養素のたんぱく質(Protein)脂質(Fat)炭水化物(Carbohydrate)から摂取するエネルギー量の比率のこと。
日本人の食事摂取基準では「エネルギー産生栄養素バランス」と呼ばれています。たんぱく質、脂質、炭水化物(アルコールを含む)とそれらの構成成分が総エネルギー摂取量に占めるべき割合(%エネルギー)として、これらの構成比率を示す指標です。
エネルギーを産生する栄養素及びこれら栄養素の構成成分である各種栄養素の摂取不足を回避するとともに、生活習慣病の発症予防と重症化予防を目的としたものです。

三大栄養素それぞれの役割 1)2)

◯たんぱく質(1g=4kcal)

筋肉や臓器など、体の主成分として重要な栄養素。酵素やホルモンの材料にもなります。
不足すると体全体の機能低下、摂りすぎると腎臓への負担が懸念されます。

◯脂質(1g=9kcal)

細胞膜の構成成分やホルモンの材料になり、エネルギー源や体温の維持に重要な栄養素です。
不足するとエネルギー不足や脂溶性ビタミンの吸収低下、摂りすぎると肥満や脂質異常症を引き起こす可能性があります。

◯炭水化物(1g=4kcal)

糖質と食物繊維に分けられ、糖質はエネルギー源となり、食物繊維は腸内環境を整える働きがあります。
不足するとエネルギー不足になり疲労感や集中力の低下が見られます。摂りすぎると中性脂肪になって蓄積され、肥満に繋がります。

理想的なPFCバランスとは?

日本人の食事摂取基準(2020年版)では、成人(18〜49歳)の「エネルギー産生栄養素バランス」の目安として以下の比率を示しています。

  • たんぱく質:13〜20%
  • 脂質:20〜30%
  • 炭水化物:50〜65%

【例】PFCバランスを15:25:60で設定し、1日2000kcalを摂取する場合

  • たんぱく質:2000 × 15% ÷ 4 = 75g
  • 脂質:2000 × 25% ÷ 9 = 約55g
  • 炭水化物:2000 × 60% ÷ 4 = 300g

PFCバランスを生かすポイント 1)2)

PFCバランスを日々の食生活に取り入れるには、主食・主菜・副菜を揃えた食事を心がけることが基本です。
それに加えて、次のようなポイントを意識すると、より効果的です。

・適正なエネルギー量を確保する

摂取エネルギーが不足していては、どれだけPFC比率が理想的でも栄養不足になってしまいます。自分の年齢・性別・活動量に応じたエネルギー摂取量を意識しましょう。

脂質の「質」を意識する

脂質は「量」だけでなく「質」も大切です。肉の脂やバターなどに含まれる飽和脂肪酸、加工食品に多いトランス脂肪酸は控えめにし、に多く含まれる不飽和脂肪酸を意識して摂るようにしましょう。

炭水化物は“種類”と“食物繊維”が大切

白米やパン、砂糖の多いお菓子ばかりではなく、玄米や雑穀、全粒粉パンなど、食物繊維を多く含む炭水化物を選ぶように意識しましょう。また、野菜や海藻、きのこ類などからも積極的に食物繊維を摂ることが大切です。

たんぱく質はいろいろな種類をバランス良く

肉や魚、卵に加えて、大豆製品(納豆、豆腐、厚揚げなど)も取り入れると、栄養価のバランスが整いやすくなります。

毎食ではなく「1日〜数日単位」で調整する

すべての食事で完璧にPFCバランスのとれた食事をとるのは難しいものです。例えば昼食に脂質の多い食事をしたら、夕食は脂質を控えめ・野菜多めにするなどして、1日の中でバランスを摂ることも大切。旅行やイベントのときは、数日や1週間単位で食事のバランスを見直すくらいの余裕をもって楽しみましょう。

健康的な食生活にPFCバランスを活かそう

PFCバランスを整えることは、体調管理やダイエット、筋力維持、生活習慣病の予防にまでつながる重要なポイントです。
まずは自分の食事の傾向を知り、主食・主菜・副菜を意識した食事から始めてみましょう。

参考文献

  1. 厚生労働省. 日本人の食事摂取基準2020年版.
  2. 上西一弘.栄養素の通になる.第4版,女子栄養大学出版部,2016,p.20~23,36~45,54~57