エネルギーになる、炭水化物の基本を知る。

エネルギーになる、炭水化物の基本を知る。

目次
 炭水化物の機能
 炭水化物の消化、吸収、代謝
 炭水化物の摂取量
 過不足のリスク
 炭水化物が多く含まれる食品10品目


炭水化物はブドウ糖や果糖などの単糖から、構成されるものの総称です。1)
体内に吸収されてエネルギー源になる「糖質」と、体内の消化酵素では消化できない「食物繊維」とに分けられます。
一般的な食生活であれば、もっとも摂取量が多い栄養素です。1)

炭水化物の機能

エネルギー源になる

炭水化物の中でも糖質は、消化・吸収にすぐれ、利用されやすいエネルギー源で、1gで約4kcalのエネルギーをもちます。1)
脳などの一部の組織では、ブドウ糖しかエネルギーとして使うことができないため、人体にとって重要な栄養素です。1)

食物繊維は腸内環境を整える

食物繊維はエネルギー源として利用されにくい成分ですが、腸内環境の改善や、コレステロールの吸収を抑制したり、血糖値の急上昇を防止したりと、さまざまな生理機能が期待できます。1)

炭水化物の消化、吸収、代謝

炭水化物の消化は口腔内から始まる

唾液中のアミラーゼという酵素がでんぷんを分解し、小腸で続いて吸収されます。
吸収された糖分は血液中に入り、インスリンというホルモンの働きによって体内の細胞に取り込まれ、エネルギーとして利用されます。

炭水化物の代謝にはビタミンB1が関わる

ビタミンB1はブドウ糖を分解する反応である「解糖系」において重要な補酵素として働きます。
ビタミンB1は、豚肉、レバー、うなぎなどに含まれます。
穀類では胚芽や外皮に多く、精白米や小麦粉にはほとんど含まれていません。
精白米や小麦粉の代わりに、玄米や全粒粉などを選ぶことで、効率よくエネルギー補給できます。

炭水化物の摂取量

日本人の食事摂取基準(2020年度版)では、炭水化物の摂取量は総摂取エネルギーに占める割合として50〜65%を目安としています。
栄養向上基準*では、食事摂取基準の目標量を参照し、基礎代謝量と身体活動レベルより算出した必要エネルギーの 50〜65%E を満たす炭水化物量を、至適量としています。

*栄養向上基準とは、厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準」に加え、ユカシカドが独自に策定した「至適量」を用いた、より満たされた栄養状態を目指すための基準です。

過不足のリスク

過剰摂取は肥満の原因になる

摂りすぎた炭水化物は体内で脂肪となって蓄積され、肥満を招きます。肥満は糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病の原因となるため、注意が必要です。

不足すると疲労感や集中力の減少が起こる

炭水化物が不足すると、エネルギー不足になり疲労感や集中力の低下が見られ、長引くと体重の減少が起こります。
ブドウ糖が必要な脳・神経で供給不足が起こると、意識障害を起こすこともあります。

炭水化物が多く含まれる食品10品目(100gあたり)

上白糖 99.3g
緑豆はるさめ 87.5g
はちみつ 81.9g
精白米 77.6g
うどん(乾) 72.7g
食パン 46.4g
さつまいも 33.1g
かぼちゃ 20.6g
バナナ 22.5g
りんご 16.2g
とうもろこし 16.8g
じゃがいも 15.9g

炭水化物の含有量がもっとも多いのは砂糖で、砂糖の使用量が多い菓子類や清涼飲料水も炭水化物を多く含む食品になります。
これらの食品は、血糖値が急上昇しやすいため摂りすぎには注意が必要です。
通常の食事では、炭水化物は主食の穀類から供給がもっとも多くなります。
精製された精白米や食パン、うどんだけでなく、玄米や雑穀米、ライ麦パン、そばなどを選ぶことで、ビタミンB1や食物繊維も補給することができます。


出典

  1. 吉田企世子(2016)「あたらしい栄養学」高橋書店 P.188~190
  2. 炭水化物/糖質|e-ヘルスネット(厚生労働省)https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-018.html(参照:2023-12-4)
  3. 食物繊維の必要性と健康|e-ヘルスネット(厚生労働省)https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html(参照:2023-12-4)
  4. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」
  5. 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」