酵素を作り、成長を助けるマンガンの基本を知る。

酵素を作り、成長を助けるマンガンの基本を知る。

目次

 マンガンの機能
 マンガンの消化、吸収、代謝
 マンガンの摂取量
 過不足のリスク
 マンガンが多く含まれる食品10品目


原子番号 25のマンガン族元素で、成人の体内に約10〜20mg存在しています。3)
土壌に含まれ、土から栄養を吸収した植物性食品に広く存在するミネラルです。5)

マンガンの機能 1)3)5)

酵素を構成する

マンガンは、アルギナーゼ、マンガンスーパーオキシドジスムターゼ(MnSOD)、ピルビン酸脱炭素酵素などを構成する成分です。
また、アルギナーゼをはじめ種々の酵素を活性化することも知られています。

三大栄養素、骨の代謝に関わる

糖質、たんぱく質、脂質の三大栄養素が代謝される時の酵素反応に関わります。
骨の代謝にも関係しており、カルシウムやリンなどと一緒に骨を作ったり、分解したりします。

マンガンの消化・吸収・代謝 1)3)5)

小腸で吸収され、吸収率は1~5%程度

食事で摂取されたマンガンは、胃で溶けて小腸で吸収されます。
吸収率は1〜5%程度ですが、鉄が欠乏するとマンガンの吸収率は増加します。

マンガンの摂取量 3)

マンガンの食事摂取基準
成人の男女で、3.5〜4mg/日摂取が推奨量とされています。
アメリカ・カナダの食事摂取基準をもとに耐容上限量が定められており、推奨量の約3倍程度とされています。

過不足のリスク

通常の食事で過剰症の心配はない 2)3)

通常の食事で過剰摂取になる可能性は極めて低いですが、ヴィーガンのような菜食のみの特殊な食事、サプリなどの健康食品の利用で過剰が生じ、血液に含まれるマンガンの濃度が上がったという事例があります。
疲労や倦怠感、不眠、精神障害、進行性認知症などの症状が現れます。

通常の食事で欠乏症の報告はない 1)2)

幅広く植物性の食品に含まれているため、通常の食生活では欠乏は起こりにくいと言われています。
欠乏すると成長阻害や骨形成異常、血液凝固異常、生殖能力の欠如、脂質・糖質の代謝の異常などが症状として現れると考えられています。

マンガンが多く含まれる食品 1)4)

野菜や大豆製品など植物性食品に多く含まれています。
バランスのよい食生活を心がけていれば不足の心配はありません。

参考文献

  1. 上西一弘. 栄養素の通になる. 第4版, 女子栄養大学出版部, 2016, p.214-219.
  2. 奥恒行, 柴田克己. 基礎栄養学. 改訂第5版, 南江堂, 2015,p.214-215
  3. 厚生労働省. 日本人の食事摂取基準2020年版.
  4. 文部科学省. 日本食品標準成分表2020年版(八訂).
  5. 吉田企世子. あたらしい栄養学, 高橋書店, 2016, p.206.