カラダをつくる、エネルギーになる、たんぱく質の基本を知る。

カラダをつくる、エネルギーになる、たんぱく質の基本を知る。

目次
 たんぱく質の機能
 たんぱく質の消化、吸収、代謝
 たんぱく質の摂取量
 過不足のリスク
 たんぱく質が多く含まれる食品10品目


たんぱく質は20種類のアミノ酸が結合してできた化合物で、カラダをつくる栄養素です。
アミノ酸の数や種類、結合の仕方によってその働きは変わり、その数は約10万種類にものぼります。
このアミノ酸の種類のうち9つは、体内で作ることができない「必須アミノ酸」と呼ばれるものです。
サプリとしてよく知られるプロテイン(protein)はたんぱく質を英語に訳したものです。

たんぱく質の機能

筋肉も肌も髪も内臓も、たんぱく質でできている

遺伝子情報であるDNAを翻訳することでたんぱく質が合成され、筋肉、肌、髪、内蔵など、ありとあらゆる体の部位を構成する細胞の主成分になります。
妊娠中の場合、たんぱく質は赤ちゃんのカラダをつくる主な栄養素であるだけでなく、胎盤などをつくる栄養素でもあります。

酵素やホルモンをつくる成分になる

体内の代謝や機能を調整する酵素やホルモン、神経伝達物質もたんぱく質からできています。
さらに、体内に酸素を供給する役割を担うヘモグロビンと呼ばれる赤血球中の成分や遺伝子、免疫グロブリンという免疫にかかわる物質もたんぱく質でできています。

エネルギー源にもなる

たんぱく質は主に体の構成成分として使われます。
そのため炭水化物や脂質よりも利用される割合は少ないですが、酸化されることでエネルギー源にもなります。
たんぱく質のエネルギーは糖質(炭水化物)と同様4kcal/gです。

たんぱく質の消化、吸収、代謝

たんぱく質はアミノ酸に分解される

たんぱく質は胃液や膵液、小腸など各消化機能によってアミノ酸へと分解され、腸管から吸収、肝臓で再び合成されて血液中に送り出されます。
体内のたんぱく質は常に合成と分解を繰り返しており、健康な体づくりのため十分な量を供給する必要があります。
特にトレーニングなどで筋肉に負荷がかかると、合成と分解が同時に増加します。
この時に分解よりも合成が上回ることで筋肉が肥大するようになります。

たんぱく質の代謝には主にビタミンB6が関わる

たんぱく質がアミノ酸へと分解し神経伝達物質などを合成していく過程には、ビタミンB6が関わります。
サプリメントとしてプロテインを摂取している人はビタミンB6の摂取も気にかけることで、摂取したたんぱく質が有効に活用されます。
ビタミンB6はお米や牛・豚・レバー、赤身の魚などに豊富に含まれています。

たんぱく質の摂取量

日本人の食事摂取基準(2020年度版)では、成人男性で60g/日、成人女性で50g/日が推奨量とされています。
栄養向上基準*では、食事摂取基準の目標量を参照し、成人において、基礎代謝量と身体活動レベルより算出した必要エネルギーの13〜20%Eを満たすたんぱく質量を、至適量としています。

*栄養向上基準とは、厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準」に加え、ユカシカドが独自に策定した「至適量」を用いた、より満たされた栄養状態を目指すための基準です。

過不足のリスク

過剰摂取は腎臓に負担をかけることがある

余分なたんぱく質はそのままでは体内に貯蔵されません。
肝臓で分解されてグリコーゲンや脂肪に変換されるか、尿中に排泄されます。
尿による排泄には腎臓が関わるため、たんぱく質の過剰摂取は腎臓に負担をかけます。
たんぱく質の摂取量が全エネルギー摂取量の35%未満であれば、腎機能を低下させることはないと考えられています。
また、糖尿病や心血管疾患の発症リスク増加に繋がる可能性があるとも言われています。
こうしたリスクはあるものの、健康障害が起きるたんぱく質摂取量は現段階ではっきりと分かっていないため、上限量は定められていません。

不足すると全身に不調がでることも

たんぱく質はカラダをつくる重要な栄養素ですので、不足すると不調が起こることがあります。
例えば以下のようなリスクがあると考えられています。

  • フレイル、サルコペニアの発症
  • 成長障害・体力や免疫機能の低下
  • (乳児や子どもの場合)成長障害の発生

また、筋肉量が低下すると基礎代謝も低下するため、エネルギーの消費量が減少します。

たんぱく質が多く含まれる食品10品目

たんぱく質が多く含まれる食品10品目

肉、魚介類、卵、乳製品、大豆製品、穀類などに含まれています。
特に、肉、魚、卵、乳製品、大豆に含まれるたんぱく質は各種アミノ酸がバランスよく含まれ「良質なたんぱく質」といわれています。
一般に、動物性食品に含まれるたんぱく質の方が吸収は良いとされています。
しかしながら、ビタミンなど他の栄養バランスを整えるため、特定の食品に偏らず、植物性のものも含め様々な食材からたんぱく質を摂取していく方が健康的だといえます。


参考文献

厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」
文部科学省(2015)「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」