目次
ビタミンB12の機能
ビタミンB12の消化、吸収、代謝
ビタミンB12の摂取量
過不足のリスク
ビタミンB12が多く含まれる食品10品目
ビタミンB群の1つで、コバラミンともいいます。
コバラミンにはシアノコバラミン、アデノシルコバラミンなど複数種類ありますが、全てコバルトを含有する化合物(コバミド)です。(2
ビタミンB12の機能 (1
葉酸と共に働いて、赤血球の合成に関与する
体中に酸素を供給する機能を担うヘモグロビンの合成に関わり、葉酸と共に赤血球を作ります。
赤血球の寿命は約4ヶ月と短く、ビタミンB12は常に新しい赤血球を作るサポートをしています。
この働きから、貧血(悪性貧血)を防ぐ効果があります。
神経の働きを調節する
DNAの合成を助け、神経細胞の働きを調節します。
これも葉酸と共に働くことで発揮される機能です。
他にもたんぱく質の合成や修復を助けたり、睡眠と覚醒のリズムの乱れを整えるのに役立つとされています。
ビタミンB12の消化・吸収・代謝 (3(4
小腸で吸収され、吸収率は50%程度
食品中ではたんぱく質と結合した状態で存在しています。
胃酸などによってたんぱく質から離れ、小腸で消化、吸収されます。
消化の過程は食品ごとに異なり、一緒に食べる食品にも影響されます。
一般的な成人では吸収率はおよそ50%です。
食事あたり約2μgを超えると吸収されなくなるので、一度にたくさん摂取しても排泄されます。
ビタミンB12の摂取量 (3
日本人の食事摂取基準(2020年度版)では、成人の男女で2.4μg/日摂取が目安とされています。
またVITANOTEで採用している栄養向上基準*では、成人の体内を飽和させるために必要な摂取量として、6 µg/日を至適量としています。
*栄養向上基準とは、厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準」に加え、ユカシカドが独自に策定した「至適量」を用いた、より満たされた栄養状態を目指すための基準です。
ビタミンB12は、一度に吸収できる上限量が2 µgであることから、3回以上に分けて摂取する必要があります。
吸収できる量が限られているため、耐用上限量の設定はありません。
過不足のリスク (1(2(3
摂りすぎても吸収できないため、過剰症の心配はない
通常の食事摂取で過剰摂取による健康障害が発現した報告はありません。
ビタミンB12が吸収されるには、胃から分泌される内因子と呼ばれる成分が必要です。
サプリなどを使用してビタミンB12をたくさん摂っても内因子の供給が間に合わず、排泄されます。
不足のリスクは少ないが悪性貧血、神経障害、動脈硬化などの欠乏症がある
腸内細菌でも作られる上に肝臓にも蓄えられるため、胃が健康であれば不足の心配はありません。
胃酸の分泌が少ないと、吸収率が低下するので不足のリスクが上昇します。
萎縮性胃炎などを患った高齢者は注意が必要です。
欠乏症では、赤血球が巨大化することで起こる「巨赤芽球性貧血」がよく知られています。
鉄の不足による貧血(鉄欠乏性貧血)と区別して、悪性貧血とも呼ばれます。
また、血液中に存在するホモシステインというアミノ酸の量が増えて動脈硬化が起き、そこから心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まります。
ビタミンB12が多く含まれる食品10品目 (1(5(6
主に魚介類、レバーなどに多く含まれます。
熱には比較的安定的ですが、光や空気によって酸化されやすいため、早めに食べたり、密閉保存したりするのがおすすめです。
また、ビタミンB12は穀物や野菜、果物には含まれません。
ベジタリアンの場合、牛乳やチーズなどの乳製品によって摂取が可能です。
牛乳からはコップ1杯(180g)で0.5μg、プロセスチーズは1切れ(20g)で0.6μgのビタミンB12を摂取できます。
ビーガン(完全菜食主義者)の場合は食事でのビタミンB12摂取が難しくなります。
100gあたり58μgのビタミンB12を含む、焼きのりを取り入れるのも良いかもしれません。
腸内環境を正常に保ち、腸内細菌によるビタミンB12合成がしっかりと行われるようにするのも大切です。
参考文献
- 上西一弘. 栄養素の通になる. 第4版, 女子栄養大学出版部, 2016, p.104-109
- 奥恒行, 柴田克己. 基礎栄養学. 改訂第5版, 南江堂, 2015, p.180-181
- 厚生労働省. 日本人の食事摂取基準2020年版.
- 田地陽一. 栄養科学イラストレイテッド 基礎栄養学. 第3版, 羊土社, 2018, p.63.
- 文部科学省. 日本食品標準成分表2020年版(八訂).
- 清水純. “腸内細菌と健康”. e-ヘルスネット. 2019-03-04, https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-003.html, (参照 2024-05-21).