目次
ビタミンB6の機能
ビタミンB6の消化、吸収、代謝
ビタミンB6の摂取量
過不足のリスク
ビタミンB6が多く含まれる食品10品目
ビタミンB群の1つで、アミノ酸代謝や神経伝達物質の生成などに関与するビタミンです。ビタミンB6活性をもつ化学物質として、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミンがあります。2)
ビタミンB6の機能 1)
たんぱく質の代謝を助ける
摂取されたたんぱく質は、体内でアミノ酸へと分解されます。
その分解されたアミノ酸を使ってたんぱく質が作られ、筋肉、肌、内臓といった体の組織などができます。
ビタミンB6は、こうしたたんぱく質の分解と合成の過程で使用される酵素を助ける補酵素として働きます。
また、必要以上にたんぱく質を摂取した場合や糖質と脂質からのエネルギーが不足した場合、たんぱく質はエネルギー源にもなり、この過程にもビタミンB6が必要になります。
神経伝達物質の合成に関わる
アミノ酸からはドーパミンやアドレナリン、セロトニン、γ-アミノ酪酸といった脳内で情報伝達を行う神経伝達物質が合成されます。
ビタミンB6はこの神経伝達物質の合成を促進します。
ビタミンB6の消化・吸収・代謝 1)3)4)
小腸で吸収され、利用率は73%程度
ビタミンB6は小腸で吸収されます。
消化の過程は食品ごとに異なり、一緒に食べる食品にも影響されます。
日本の平均的な食事での利用率は73%と考えられています。
腸内細菌によっても合成される
ビタミンB6は腸内細菌においても合成されます。
ビタミンB6の摂取量 1)3)
日本人の食事摂取基準(2020年度版)では、成人の男女で1.1〜1.4mg/日摂取が目安とされています。
またVITANOTEで採用している栄養向上基準*では、成人の体内を飽和させるために必要な摂取量を「0.054 mg/gたんぱく質」とし、1日あたりのたんぱく質必要量を乗じて算出しています。
*栄養向上基準とは、厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準」に加え、ユカシカドが独自に策定した「至適量」を用いた、より満たされた栄養状態を目指すための基準です。
プロテインを使用するなどしてたんぱく質の摂取が多い時には、必要量が増加します。
また、上限量が定められています。
過不足のリスク 1)3)
通常の食事摂取で過剰症の心配はないが、大量摂取で感覚神経障害のリスク
通常の食事摂取で過剰摂取による健康障害が発現した報告はありません。
ただし、薬やサプリなどで大量摂取した場合に「感覚性ニューロパシー」という健康障害が現れることがわかっており、耐用上限量が設定されています。
感覚性ニューロパシーは手足にしびれや痛みがあったり、様々な感覚を正常に認識できなくなったりします。
不足することはあまりないが、欠乏すると皮膚炎や神経障害などが起きる
ビタミンB6は体内でも合成されるため、通常の食事で欠乏症が起きる心配はありません。
ビタミンB6の欠乏により、ペラグラ様症候群、脂漏性皮膚炎、舌炎、口角症、リンパ球減少症が起こり、また成人では、うつ状態、錯乱、脳波異常、痙攣発作が起こります。
ビタミンB6が多く含まれる食品10品目 1)5)
魚介類、肉類、野菜、果物と幅広く含まれています。
米にも多く含まれるため、米を主食とする日本人はビタミンB6を補給しやすい状況にあるといえます。
調理では損失の少ない栄養素ですが、紫外線で分解されやすいため日光のあたらない場所での保管がおすすめです。
参考文献
- 上西一弘. 栄養素の通になる. 第4版, 女子栄養大学出版部, 2016, p.20-21,98-103.
- 奥恒行, 柴田克己. 基礎栄養学. 改訂第5版, 南江堂, 2015, p.179-180.
- 厚生労働省. 日本人の食事摂取基準2020年版.
- 田地陽一. 栄養科学イラストレイテッド 基礎栄養学. 第3版, 羊土社, 2018, p.63.
- 文部科学省. 日本食品標準成分表2020年版(八訂).