目次
ビタミンEの機能
ビタミンEの消化、吸収、代謝
ビタミンEの摂取量
過不足のリスク
ビタミンEが多く含まれる食品10品目
主に細胞の膜に存在する脂溶性ビタミンで、抗酸化作用があります。
ビタミンEにはトコフェロールとトコトリエノールに大きく分けられ、それぞれ構造の違いによりさらにα、β、γ、δの4タイプに区別されます。
そのためビタミンEは計8種類が存在することになりますが、体内に存在するビタミンEの大部分はα-トコフェロールです。
そのため食事摂取基準では、α-トコフェロールの量を指標にビタミンEの摂取基準が設けられています。
ビタミンEの機能
体や肌の酸化を防ぐ
細胞を傷つけたり、異常な細胞を作り出したりする過酸化脂質の生成をおさえ、臓器や肌を守ってくれる効果があります。
動脈硬化は血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)の酸化で進行します。
そのLDLコレステロールの酸化をビタミンEがおさえてくれます。
血行をよくする
ビタミンEは血管の収縮を促す神経伝達物質の生成をおさえ、毛細血管を拡張してくれます。
ビタミンEの消化・吸収・代謝
油脂と一緒に摂取すると吸収率が上昇する
脂溶性のビタミンEは胆汁酸などによって水に溶ける状態になった後、腸管からリンパ管で吸収されます。
吸収率は10〜40%とされていますが、正確には分かっていません。
ただ、油料理や脂質を含む肉や魚などといった食材と摂取すると、吸収効率が上がります。
ビタミンEの摂取量
日本人の食事摂取基準(2020年度版)では、成人において5〜7mg/日摂取が目安とされています。
栄養向上基準*では、体内飽和点(α-CEHCが尿中に排泄される点)である20 mg/日を成人の至適量としています。
通常の食品摂取で不足や過剰症の報告はありませんが、安全が確認できている最大量を上限として定められています。
*栄養向上基準とは、厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準」に加え、ユカシカドが独自に策定した「至適量」を用いた、より満たされた栄養状態を目指すための基準です。
過不足のリスク
過剰症は起きにくいが、血が止まりにくくなったり筋力が低下したりする
脂溶性のビタミンは体にため込まれやすいため、水溶性のビタミンに比べ、過剰症が起きやすい傾向にあります。
しかし、ビタミンEは脂溶性ビタミンでありながらも過剰症が起きにくいと考えられています。
とはいえ、耐用上限量を超えるビタミンEを摂取し続けると出血する危険性があります。
他にも、筋力の低下や疲労、吐き気、下痢などが起きたという報告が存在します。
通常の食事で欠乏症や過剰症が発症した報告はありません。
サプリを使用する際は耐容上限量を守って摂取しましょう。
ビタミンEが多く含まれる食品10品目
主に植物、種実、魚類の油脂成分に含まれます。
脂溶性ビタミンのため油と一緒に吸収されやすく、熱や酸に強いという特長を持っています。
同じく抗酸化作用の強いビタミンCやカロテノイドなどと一緒に摂ると、抗酸化作用が上昇します。
カロテノイドは緑黄色野菜に多く含まれています。
熱や酸に強いビタミンEですが、紫外線には不安定ですので光のあたる場所に保管すると分解されてしまいます。
参考文献
厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」
文部科学省(2015)「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
上西一弘(2016)「栄養素の通になる」女子栄養大学出版部
奥恒行、柴田克己(2017)「基礎栄養学(改定第5版)」南江堂
田知陽一(2018)「栄養科学イラストレイテッド基礎栄養学第3版」羊土社