血を固める止血ビタミン、骨の形成も助けるビタミンKの基本を知る。

血を固める止血ビタミン、骨の形成も助けるビタミンKの基本を知る。

目次
 ビタミンKの機能
 ビタミンKの消化、吸収、代謝
 ビタミンKの摂取量
 過不足のリスク
 ビタミンKが多く含まれる食品10品目


血液の凝固や骨の健康に関わりのある栄養素です。
植物性食品に含まれるフィロキノン、メナキノン類などいくつかの種類があります。
食事での摂取だけでなく、体内の腸内細菌によっても合成されます。

ビタミンKの機能

血液を凝固させる

けがなどで出血したとき、しばらくすると血が自然に固まっていきます。
これは、体内に血液凝固因子と呼ばれる血液を固める物質があるためです。
ビタミンKはそんな血液凝固因子の1つであるプロトロンビンを作るために不可欠な補酵素となります。

骨や歯の形成を助ける

ビタミンKは、吸収されたカルシウムを骨に取り込むのを助ける働きをします。
骨粗鬆症の治療薬としても認可されています。

ビタミンKの消化・吸収・代謝

食べ物のビタミンKは小腸で吸収される

腸管で吸収されます。
吸収率は食事中の脂肪含量などの影響を受けるため、油と一緒に摂取することが推奨されます。

腸内細菌によっても作られる

ビタミンKは腸内細菌によっても合成されます。
その働きは食品から摂取されたものと同じで、体に必要な量の半分程度が腸内細菌から作られます。

ビタミンKの摂取量

ビタミンKの食事摂取基準
日本人の食事摂取基準(2020年度版)では、成人の男女で150μg/日摂取が目安とされています。
栄養向上基準*では、成人の男女において、骨折予防に必要とされる量である300 µg/日が至適量とされています。

通常の食生活で健康被害が発生した報告はなく、上限量も定められていません。

*栄養向上基準とは、厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準」に加え、ユカシカドが独自に策定した「至適量」を用いた、より満たされた栄養状態を目指すための基準です。

過不足のリスク

過剰症の報告はないが、貧血や血圧の低下が起きる可能性

過剰症の報告はありませんが、サプリなどの過剰摂取により貧血や血圧の低下が起きる場合があります。

不足すると出血しやすくなる

ビタミンKが欠乏すると、血液凝固因子のプロトロンビン産生が減少し、血液凝固が遅くなり出血しやすくなったり、止血しにくくなったりします。
骨においては十分にカルシウムが取り込まれなくなり、もろくなります。
しかしながら、体内で合成できるため通常の食生活で欠乏症が発症した報告はありません。

なお、生まれたての新生児には腸内細菌が少ないため、ビタミンKが不足して、消化管や頭蓋内の出血を起こす「新生児メレナ」や「突発性乳児ビタミンK欠乏症」といった欠乏症を発症する場合があります。
こういった欠乏症を防ぐため、病院では出生後すぐに赤ちゃんにビタミンKを与えています。

ビタミンKが多く含まれる食品10品目

主に納豆などの発酵食品、青菜類、海藻類に多く含まれます。
加熱に強く安定しており、油での調理が効果的です。
光(紫外線)により壊れやすいという性質をもっていますので、日光に当たらないよう保管しましょう。
また、アルカリでも壊れやすいため、重曹などの使用によりビタミンKが減少するといえます。

参考文献

厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」
文部科学省(2015)「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
上西一弘(2016)「栄養素の通になる」女子栄養大学出版部
奥恒行、柴田克己(2017)「基礎栄養学(改定第5版)」南江堂
田知陽一(2018)「栄養科学イラストレイテッド基礎栄養学第3版」羊土社